ビビビ読

普通のマンガ誌は、編集者と漫画家が一対一で打ち合わせを重ねて作ります。
掲載されるマンガ家同士は、基本特にお互いの作品にタッチすることはありません。


それに対し「コミックギア」は
連載作家全員が、毎日一つの仕事場に集まり作業をし、
マンガ家同士が、協力し合って作っています。

http://comicgear.net/concept.html

 このコメントに思い切りビビビときたまま見つからなかったコミックギアを今日入手。
 今読んでます。最後のページみたらホントに編集者の名前がなくてびっくりした。




読書中


 10分で読めました!
 思ったこと。

  • 話の流れや主人公像がすべての作品でほとんど同じだから気持ち悪い。いろんな主人公・ストーリーを読みたくて読者って雑誌を買うんじゃないの? 絵柄と題材が違うだけで「ひねくれた主人公」「すかしたギャグを挟んだ話」ばっかりなのって4コマ出身者の弊害ですか?
  • ほぼすべての作品で見開きもしくは1ページぶち抜きが使われていてイライラする。全員が全員そんなに自分の決めたいところを強調する必要ないんじゃ? 大御所さんでもなかなか見開きは使わせてくれませんよ。戦闘シーンで同じ2ページ使うんだったら見開きドカーンよりそれぞれのコマに流れを持たせる方が絶対いいし、多くの漫画雑誌でそういう構成になっている理由がわかります。書き込みを表現するため(例:『こち亀』のリカちゃん人形シリーズ勢ぞろい)とか、主人公が見た景色の美しさを表現するため(例:『岳 みんなの山』『ARIA』)とかならわかるんですが、主人公の顔面アップで見開きとか言われると、怒りすら覚えます。
  • 編集者がいなくて大所帯でみんながみんなの意見を参考にして作ってるとはいえ、結局そのグループ内で一番発言力のある人に流されてしまうし、よしんばグループ内で意見の交換が行われたとしても、その落とし所としての結論は1つであるわけですよ。ゆえに全員の作品が1つのラインに縛り付けられ、結果としてふたなりアンソロジー本よりも作家の個性・魅力がスポイルされた、魅力のない画一化内容となっているのは実に笑えない。

 なんか編集者不在で作家同士より集まって好き勝手書くと、全員俺が俺がと見開きは使いまくるし、「ちょっとストレートじゃなくてひねった感じのストーリー」をみんなやるし(それはもはや変化球ではなくストレートが投げられないだけです)で、結果として編集者がいるよりも画一化されるのがおもしろいと思いました。巨匠病(『まんが極道』3巻参照)こじらせるとこんなんなっちゃうんだ……。面白い面白くないでいうとすべてが神経を逆なでします。
 そもそも編集者って1人目の読者なわけで、そのチェックをスルーして作り手側の自意識過剰だけで世に出すって、よっぽどの世間知らず……あわわ、芸術家肌の方が集まっているのですね! 次が出るのが11月予定となっているあたりも芸術家っぽくていいと思います! 編集がいない唯一の利点は柱のうざい煽り文がないところくらいでしょうか。あ、もしかしてタイトルページの煽り文とか作品の間に挟まれる内容の解説とか広告とかがやけに垢抜けないんですけど、これも作家の方が自分で作ってるんでしょうか。同人誌じゃねえんだからよすべてが手作り感あふれるロハスな雑誌だと思います。


 総合評価:★★★★★(☆5つが最高評価)
 総合感想:編集者は偉大