私はシニカルなんだろうか

 本日のオバマニュース。

 オバマ米大統領は1日、イラクに駐留している14万人の米軍部隊の大部分を1年以内に撤収させる見通しであると述べた。イラクが自国の治安により大きな責任を担う準備が整ったためだとしている。
(中略)
 オバマ政権はアフガニスタン戦略の包括的な見直しに着手しており、3万6000人のアフガニスタン駐留米軍を18カ月以内に6万人以上に増強することを検討している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090202-00000333-reu-int

 というわけで、就任前から述べていたイラクからの早期撤退を改めて主張されました。まあイラクから帰ってきても、半年後には3分の1以上がアフガンに行かされるんですけどね。1年以内に撤退がなされなくても、大統領選中に言っていた「16ヶ月以内に撤退」が実現されれば、2ヶ月アメリカで静養させてからアフガンに行かせる、と。おお、ちゃんと計算が合うぞ!


 ちなみにオバマ大統領は、大統領就任挨拶の中で「each day brings further evience that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet」と述べています。要するに「我々のエネルギーの使い方が敵に味方しているということが日々明らかになっている」ということなのですが、adversaryというのはどっちかと言えば戦争の相手国とかに使われる単語でして、ブッシュ元大統領も2001年にABM条約から撤退するとき「Mr. Bush said it's terrorists who present the greatest security threats now, not the former Cold War adversaries.」と使っているように、冷戦時代のソ連を隠喩するような時に使う単語です。
 要するにオバマ大統領は国民に対して石油をガンガン使うという今までのエネルギー消費のあり方というのは環境にダメージを与える(からクリーンなエネルギーを推進する私のグリーン・ニューディール政策を支持してね)ということを言うと同時に、石油生産国(というか、中東の国々)というのは我々の敵対国であるということを述べているわけです。この他にもイラクやアフガンでテロと戦う兵士をねぎらう言葉がいくつか散見されます。つまり、オバマ大統領は就任演説の中で「まだまだ中東とはやるよ!」とこっそり言っているわけです。ま、就任演説では同時に「To the Muslim world, we seek a new way forward, based on mutual interest and mutual respect.」とも述べているので、保守派やネオコンを喜ばせるためにadversariesなんて使ったのかな、とも思ったりしますが、言葉尻だけとらえて云々するのは穿ちすぎかなとも思うのでこのくらいにしておきましょう。


 話は変わりますが、『オバマ・ショック (集英社新書 477A)』でウェイン町山さんが「ニューディール政策大恐慌からアメリカ経済を復活させた」みたいな主張を何度も言ってるんですけど、実際ニューディール政策が始まってからも大恐慌は10年間続き、1940年の時点で失業率は15%近かったわけで、なにが経済を復活させたって第二次世界大戦による特殊な巨額の政府支出に他ならないのでは……。ウェイン町山さんの思想的立場からは死んでも「アメリカの大恐慌は戦争で救われた」なんて言いたくないし、ニューディール政策による公共投資アメリカ経済が救われたことにしたいんだろうなあと推測。でも公共工事とかによる雇用や消費の増加は一時的なもので長続きしないっていうのが常識って言うか、実際日本はよくならんかったじゃん! ちょっと前まで景気よかったのはITバブルのおかげじゃん!