けいおん!! 第3話「ドラマー!」

 ※この記事はたまごまごごはん(id:makaronisan)さんの「どうして律が拗ねたのかを、澪と梓は知っていると思うんだ。「けいおん!!」第三話 - たまごまごごはん」に影響されて書いた記事です。


 岡山では今日の午前1時半にようやく第3話が放映となった『けいおん!!』の感想です。
 今回の話は第2話までと違って全体的に妙な感じで、学生の浮つきやすさと不安定さと危うさを表現しているように思えて、なんだか語りたくなってしまったので書きます。
 ネタバレがありますので「続きを読む」から読んでください。
 ネタバレが見たくない人は、私が第3話で一番好きなシーン「律のエアドラム」をご覧いただいて、BD版をお待ちください。
 手首と首の動きのバランスがすごく好きなんですよ。まさに京アニ! という感じです。





 さて、第3話「ドラマー!」ですが、第1話、第2話のお気楽路線と違い、なんとなく意味ありげな台詞やシーンが多くて、不思議な感じでした。
 律の「ドラムやめる!」宣言から始まるドタバタ路線、と一言で言ってしまえばそれまでです。『けいおん!』の後半においても、梓が軽音部のゆるさに耐えきれず波乱を起こすも、結果丸く収まるというドタバタストーリーが展開されていました。どうせ丸く収まっていくんだろうと思ってしまうのは仕方ありません。丸く収まってこそ『けいおん!!』です。ただ、その収め方が、『けいおん!』の梓マジギレと、『けいおん!!』のドラムやめる宣言とでは少し違いました。
 『けいおん!』では、梓視点で「一見ヘナヘナに見える軽音楽部は、よく見ると信頼関係で結ばれているからあんな演奏ができるのです」というのを表現していましたが、それは軽音部の誰かが梓にそう諭したりしたわけではないし、理詰めで迫っていったわけでもなく、ただ梓の受け取り方が変わっただけです。本人たちは直接何も言わないけれど、音楽を聴かせたり活動を見せることで相手の印象を変えてしまうと言うのは、「俺の歌を聴けば世界が平和になる」とあまり変わりませんし、あまりにマンガ然としていますが、梓が「自分とは違う価値観の人たち」を受け入れられるくらい成長したのを表現しているのだとも言えます。
 しかし、今回の『けいおん!!』では、それとは逆に意味ありげなセリフの積み重ねで律の「ドラムやめる!」宣言を打ち消していったように思えます。見ていてこっちが「なんだこりゃ」と思うくらいセリフを積み重ねたりボディタッチをしたりと、積極的に律と他のメンバーが交流していくのを見ていると、なんだか「これだけセリフを重ねないといけないくらい律って信頼関係なかったっけ」みたいな気分になります。澪のベースは譲らない発言とか、熱くておじさんにはついていけないにょ。それをいちいち言わないといけないというのが理解しがたい。最終的にはどうせ元の鞘で丸く収まることはわかってるのに、なんでこんな回りくどいことするんだろう? 『けいおん!』で唯が楽器選びについてメンバーに聞いた時はあっさり流していたのに。


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ベースをやる理由について頭から煙を出すシーンはこのシーンのオマージュでしょうか。


 一番引っかかったのは、律がドラムを続けることに対し悩んでいる(と思い込んだ)唯が暴走して律を励まそうと無茶苦茶やった後の、このやりとり。

唯:律っちゃんの悩みはみんなの悩みだよ。一人で悩んじゃやだ。
律:いや、だから、悩んでないし
唯:みんなで乗り越えようね!
律:ヒャー! 違うってばぁ〜……

 律が拗ねた理由について、澪とムギと梓はわかっていて(梓はこのシーンで、律に同調して唯にあきれている)唯だけわかってないんだろうなということがわかるシーンなのですが、結局最後の最後まで唯は理解できなかったんじゃないかな、と思います。ラストでは唯の「ドラム大好きだ」発言でなし崩しに律はドラムを続けることになりますが、澪と律がいちいち自分の楽器を続ける理由を言葉に出して言ったのは、唯にわからせるためなのかと思ってしまうくらい唯はわかってなかったように見えました。
 というわけで、第3話は軽音部の中で唯だけ浮いてるのを象徴するようなエピソードに見えてしまい、なんだか不安を覚えるような話でした。唯はアホの子で、それを周りが暖かく見ていくという話だと思えばそれはそれでアリかもしれませんが……。


 あと、「ドラマー!」の中に挿入されていたさわ子先生のエピソード(みんなに注目されるときれいになっていくわ→もっときれいにならなきゃ→ピカピカになるためエステティックしすぎて肌が大変なことに)も、言ってしまえば律が元の鞘に戻らなかったらどうなってしまうかということのメタファーだろうと思います。今回の話の発端は律ですが、律が「ドラムやめる」発言をした発端はさわ子先生にあるわけです。その発端が大変なことになってしまった一方で、律はエアドラムをキめて元の鞘に戻る、というのは、話の対比としては非常におもしろい表現だと思いました。


 ドラムの位置については、YMOはドラムが真ん中にいたので、クリック音聞きながらすれば万事解決ではないでしょうか。


 とりとめが無くなってしまいましたが、それでは。